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絵カード学習2 [子育て]

絵カードを始める前のパンナは一語分(つまり単語)はそれなりに出るものの、二語分が全くと言うほど理解できませんでした。「リンゴ、頂戴」と我々が目の前でどんなに繰り返しても、彼女が発する言葉は「リンゴ」か「頂戴」だけ。

我々の最初の目標は二語分の習得に決定しました。絵カード学習の活用の決意と同時に購入したラミネート加工マシンを使って、自作の絵や小さく印刷した写真を次々にラミネート加工していきました。それらの裏には100円ショップで買ってきたマジックテープの片側を貼りました。マジックテープのもう一方はこれまた100円ショップで買ってきた下敷きに付けます。こうすることで、各カードを好きな順番に並べることが可能になります。

物については写真などを使って簡単に作成できましたが、苦労したのは動作を表す言葉や副詞などです。しかし、後になってすぐ分かりますが、それっぽいもの(例えばジェスチャーでも)を作成して、これはこういう意味だということを強制的に教えてしまえば良かったのです。

まずは、それぞれのカード単体の意味を教えました。発達障害に限らずこの年頃の子供にものを教えるのは大変です。興味を持ってくれれば良いのですが、そうでないとほぼ不可能です。広範性発達障害児にものごとを教える時の一番の敵は「無関心」です。PECSでも一般的に使われますが、我々も強化子を使って興味を引くことにしました。パンナの強化子はクッキーやチョコレートなどです。

案の定パンナは我々の策略にはまり、すぐに30枚近くのカードの意味を覚えました。もともと知っている単語が多かったのと、単語の暗記は彼女にとって朝飯前なのです。大学受験のときに英単語や歴史の年代の暗記に非常に苦労したパンフとしてはうらやましい限りです。

そして、ついに二語分への挑戦です。
パンナの大好きなバナナの写真のカードと「頂戴」をあらわすジェスチャーのカードを並べ、2枚のカードを順に指差しながら、「バナナ、頂戴」と言い、パンナに真似させます。当然最初はできませんが、それではお菓子はもらえません。人の真似が苦手なパンナも、必死になってがんばります。

何度目かの挑戦の後、「バナナ、ちょうだい」という言葉がついに出てきました。まさかすぐに成功するとは思わなかったので我々もびっくり。絵カードと強化子のパワーを思い知りました。
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絵カード学習 [子育て]

今回は絵カードを使った学習についてです。

自閉症などの広汎性発達障害の人たちは視覚優位であることが多いようです。視覚優位とは目から入ってくる情報からの吸収が、他の方法、例えば耳からの情報を吸収するよりも強いということです。

大人になると自分が得意とする学習スタイルが分かってきます。黙々とテキストを読み続けるだけで覚えられる人もいれば、口に出して発生しないと覚えられない人もいます。因みに私は手を動かして書かないとおぼえられません。このように大人になれば誰しも得意、不得意の学習方法はありますが、発達障害の人はこの傾向がかなり偏っているようなのです。

パンナは耳からの情報の吸収がとても苦手のようです。隣で話しかけてもまるで聞こえてないような態度でいることが多くなったのは1歳半くらいからだったと思います。しかし、見たもの(特に物の名前)の記憶に関しては同年齢の子よりもずっと優れていて、それは診断される前から思っていました。話しかけてもこっちを向かないのは耳垢でふさがっているんじゃないか位にしか思っていませんでしたが、視覚優位のためだと分かったのは町の発育相談所で診てもらってからです。

前置きが長くなりましたが、ここで登場するのが絵カードです。例えば物や動作を表す言葉を絵カードにし、コミュニケーションの手段とします。PECSという自閉症児のための絵カードを使ったコミュニケーションシステムが有名です。

PECSを実践するにはそれ相応のトレーニングを積んだほうが良いとされています。当然ですがそれには時間と金銭的なコストがかかってしまいます。一方で、発達障害の症状は百人百様です。一般的な方法を学んだところでその通りにはいかないだろうと考えました。そこで、これまでに購入した本やWEBサイトなどから最低限のルールを学びつつ、我流で実践することにしました。

おっさん脳 [子育て]

前回、周りの出来事が自然と入っていかないことについて述べました。

赤ちゃんは五感をフルに働かせて物事を吸収していきます。例えば、新しい言葉を覚えるとき、当然初めて聞くその言葉を知るはずがありません。しかし、その言葉がいつも同じケースで使われることに気づくなどし、その言葉にはこういう意味があるのではと徐々に理解していくのだと思います。

一方、大人はというと、論理的に理解しようとします。例えば、英語を勉強するとき、未知の単語"destiny"に出会ったとします。当然、日本語の意味を知りたくなります。そして、日本語の意味とこの単語を繋げて、初めて言葉を理解した気になります。逆に言うと、自分の知っている言葉に変換して理解するまでは、その意味をなかなか覚えられません。"Identity"のように日本語に同じ意味を持つ単語が無い場合、いつになっても覚えられないのが良い例だと思います。

私はこれを「おっさんの学習法」と呼んでいます。私自信典型ですが、中高年男性は、自分の経験に執着しすぎるあまり、新しいものを覚えるのが苦手です。女性は男性に比べて社交性や好奇心がずっと高い(人が多い)ため、男性のほうがこの傾向がより強い気がします。ただ、このおっさんの学習法は悪いことばかりではありません。有名なゴルフコーチの坂田信弘氏は、大人のほうが言葉で理解できる分呑み込みが早い、と言っています。

パンナはこの世に生を受けて2年足らずですが、更に女の子ですが、この「おっさんの学習法」で物事を習得していくようなのです。困るのは論理的に考える力も経験も決定的に不足しているということです。

頑固だし、融通が利かないので大変ですが、覚えられないわけではないみたいなのです。例えば物の名前の暗記はとっても得意です。我々は彼女にあった方法で学習させればよいと考えました。そこで使用したのが絵カードを使った学習です。

コミュニケーション [子育て]

結果として現れる行動にはいくつかのパターンがありますが、つまるところ自閉症とは外部との遮断にあると解釈しています。コミュニケーションの障害です。

コミュニケーションは会話によってのみ成立するものではありません。筆記によるものやジェスチャーによるものも代表的なコミュニケーション手段ですし、目だけでもコミュニケーションを行うことが可能です。離れた場所にいる人と一体感を感じるというのも一種のコミュニケーションといえるのではないでしょうか。コミュニケーションとは、他への伝達(受信)であり、他との共感です。

人間が有する能力の多くはこのコミュニケーションによって培われていると言えると思います。会話する、絵を描く、物を創り出す、など他の生き物を圧倒する多くのスキルを人間は持っていますが、それを育むものがコミュニケーションだと私は理解しています。

この世に生を受けた赤ちゃんは、カラカラに乾いたスポンジのようなもので、周りに刺激を受けることで学び、スポンジが水を吸い上げるように自然と満たされていくのだと思っていました。多分、それは大方の子供には当てはまる気がします。

しかし、コミュニケーションに障害を持つ子は、自然と入っていかないのです。吸い上げるためのこつを、その子にあわせて教えてあげる必要があります。

開始 [子育て]

覚悟はしていたものの、パンナに障害があるかもしれないと告げられたとき、我々夫婦は真っ暗闇の大海原に投げ出されたような気分になりました。GPSも羅針盤無しには目的地に辿り着けないのと同様に、何の情報も得ずにそのままにしても良い結果は得られないと考えました。
まず情報収集を行おうということで、手分けをして情報を集めることにしました。手分けとは言っても、パンママが8に対して私パンフは2くらいでしたが。もしかしたらそれよりも偏っていたかもしれません。

私は毎晩会社から帰ると、インターネットを使って自閉症に関係のある記事を片っ端から読むことにしました。まずは自閉症の症状について、続いてその原因について、そして治療法について調べました。膨大な量の情報になじみの無い用語。大学でも心理学の授業などを受けたことの無いパンフにとっては未知の世界で非常に苦労しました。

またサイトによって言っていることは様々で、何を信じれば良いのかわかりません。今となってはどれが自分たちにとって役に立ちそうか、あたりはつくようになりましたが、暫くは見分けることができず、非常に非効率でした。特に、こうすれば治るという記事を見つけると、そこに惹かれてしまい、そのサイトに長居をすることがしばしばでした。

いろいろ読んでいくうちに、少なくとも現時点では決定的な治療方法は見つかっていないということが分かってきました。子の完治を願う親としては認めたくないことですが、冷静に考えると当然だと思えるようになっていきました。
本当に治る(例えば半分の確率でも、或いは20%くらいの確率でも)方法があれば、それが専門家の間で知られていないというのはありえないですもんね。

専門は異なるのですが、外科医をやっている友人に言わせると、ネットの情報は話半分でとどめておくくらいで十分なのだそうです。ネット上には、読み手にとってあまりにも都合の良い記事が多いようです。




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そして今 [子育て]

その後、約半年がたちました。

異常に気づいてすぐに、パンナとパンママは、パンママの実家に引っ越しました。
一つはパンナの療育に専念させるため、もう一つはパンママの精神的なサポートのためです。
親の精神的な安定無くして、療育もできません。パンママの両親は二人とも元気で、大ばあちゃんも元気です。非常に助かりました。毎週末、約1時間半かけて私がパンナに会いにいきました。

そういう生活が3ヶ月ほど続きましたが、いつまでも別居は良くないだろうということになり、約3ヶ月前にパンママの実家の近くに部屋を借り、そこで一家三人再び一緒に暮らすことになりました。
田舎育ちのパンフにとって満員電車での長時間通勤は楽ではありませんでしたが、2週間もすれば慣れました。ゆっくりと本が読めるのでそんなに悪いものでもない気がします。

パンママの献身的な療育はもちろんのこと、両親をはじめ、周りのいろんな人たちのサポートで、パンナの状態は着実に良くなってきています。

前に通っていた発育センターでは自閉症の可能性が高いと言われていましたが、引っ越してから新しく通っている今の町の発育センターでは自閉症とは異なる点も多くあるので現時点では何とも言えないとのことでした。小さい子供は気分などによって調子が大きく変わるのと一時間程度の診察なので、なかなか診断が難しいのだと思います。いずれにせよ、今も多くの点で明らかに健常児とは大きく異なっており、これからもチームパンナの活動は続きます。

これまでの試みと、これから我々に降りかかる困難を記録しておかねばと考えブログをつけることにしました。

はじまり [子育て]

暑い夏のある日の夜。
遊びつかれたわが子(パンナ・当時1歳半)がぐっすりと寝入った後、リビングのソファーで朝読みきれなかった新聞の記事を読む私(パンフ)。ソファーの向かいにあるPCでは妻(パンママ)がインターネットで調べ物をしていました。

パパ、ちょっとこれ聞いて。

突然、あわてた感じでパンママが話しかけてきました。
目が合わない、手をひらひらさせる、物を規則的に並べる、物への異常な執着と人への興味の無さ、
痛みに鈍感、・・・、などなど、パソコンを見ながらあげる項目の多くがパンナの最近の行動にあてはまってました。

これって自閉症に多く見られる行動なの。

一瞬、頭が真っ白になる私。そんなはずは無い。つい3,4ヶ月前までは人懐っこくて誰にも笑顔で、歌なんかも大好きで一緒に歌っていたし、物まねも得意だったし。
最近はほとんど無反応だけど・・・

あとで調べて知ったことなのですが、退行性の自閉症というものもあるらしく、折れ線型と呼ばれるそうです。2歳まで普通に育っていた子が、ある時からこれまでできたことができなくなっていくというものです。


産まれて何ヶ月かたった頃からパンナの特異性は際立っていました。
異常な怖がりで、夜を除いては布団の上では一切寝られず、ハイハイをするまでは泣いてばかりいた印象です。
動けるようになると、身の周りのものに興味を持つようになるまでは普通の赤ちゃんと一緒だったのですが、大好きなのが金属で、パイプとかサッシとか、まずは触って触感を楽しみ、そして舐めるという感じでした。
10ヶ月を過ぎた頃に歩けるようになってからは、公園に行くと、滑り台を見つけてかけよったと思ったらあとは手すりの金属を触り続け、水道の蛇口を見つけては、そこから出てくる水を飽きることなくずっと眺めていました。歩き始めは転ぶことも多かったのですが、すりむくほどに転んでも、決して泣きません。

同月齢の他の子と比べる機会が少ない私ですら変だと感じていたので、他の母子と接する機会の多いパンフには尚更思うところはあったと思います。

私、パンフは、見た目も含めて典型的な日本人です。行動も、思想もごく平凡。ネガティブに言うと印象に残りにくいタイプ。そんな人間だからか、変わった人が大好きで、そう人を見ると強い興味を覚え、妙に応援したくなってしまいます。

わが子の変わりぶりに関しては、俺から、よくこんな変わった子が産まれてきてくれたと、むしろ好意的に受け止めていました。

その夜までは。
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